CDS契約においては、イベント対象債務にクレジットイベントが発生し、所定の手続きを経てそれが認定された場合、現物決済や現金決済などの決済が行なわれます。各取引においてクレジットイベントとしてどのような事由を指定するかは、契約当事者が自由に決定しますが、コーポレート(企業)を対象とするCDSにおいては、一部の例外を除いて、@支払不履行(Failure to Pay)、A倒産(Bankruptcy)、Bリストラクチャリング(Restructuring、債務の条件変更など)の3つのイベントを指定することが一般的です。
現物決済の場合には、プロテクションの買い手はプロテクションの売り手に対して、一定の条件を満たす債権を引き渡す必要があります。現物決済においてこの引渡しの対象となりうる債権を「引渡可能債務」といいます。引渡可能債務についてもイベント対象債務同様、当事者の合意により予め用語定義集から「種類」と「性質」を選択することになりますが、日本の市場においては「種類」として「債券またはローン」(Bond or Loan)を選択することが一般的です。イベント対象債務は「借入債務」であることから、預金の不払いなどもイベントの対象となりますが、引渡可能債務は「債券またはローン」であり、預金については引渡しの対象とならないこととなります。
クレジットイベントのうち、破産(Bankruptcy)、支払不履行(Failure to Pay)については比較的明確ですが、リストラクチャリング(Restructuring)については、債務再編の形態も種々あることから、その認定が困難な場合がありえます。ただし、多数の市場参加者が取引を行なっている流動性の高い銘柄については、仮にリストラクチャリングへの該当が疑われる事象が発生した場合には、ISDAの各種コミッティーを通じてその該当性について検討が行なわれ、一定の方向性が示されるケースが多いかと思われます。
日経平均などと同様に、iTraxxインデックスも構成銘柄の見直しが行なわれますが、日経平均と違って、見直し前や見直し後のインデックスは「シリーズ(Series)」として独立し、それぞれのシリーズには番号が付与されて固有の構成銘柄や取引終了日などが決められます。直近に銘柄見直しが行なわれたインデックスは「カレント物(On the Run)」と呼ばれ、2009年1月現在のカレント物であるシリーズ 10は2008年9月に構成銘柄の見直しが行なわれたものです。それ以前のシリーズ 1〜9も「Off the Run」取引として取引されていますが、カレント物に比較すると流動性はかなり低下します。また、取引年限という観点では、取引量が最も多いのは5年物の取引で、この点は通常のシングルネーム CDSでも同様です。